健康寿命とは
寿命とは異なる概念で「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」とされており、2000年にWHO(世界保健機関)が健康寿命の考え方を提唱して以降、世界中で「いかに健康に生活できる期間を伸ばすか」に関心が高まっています。
まず、日本の平均寿命について確認してみましょう。厚生労働省の簡易生命表(令和5年)※1によると2023年の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳となっており、世界保健統計※2によると日本人は84.3歳で2位のスイスに0.9ポイント差をつけるぶっちぎりの世界一となっています。
推移は以下のようになっており、なだらかにはなっていますが右肩上がりに上昇しており、2040年には男性が83.27歳、女性が89.63歳になると推計されています。
一方同じく世界保健統計※2を参照すると健康寿命については日本は74.1歳となっており、こちらも世界一となっています。
ただ単純にどちらも世界一でよかったね、という話ではありません。
前述の通り健康寿命とは「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」でありますから、平均寿命と健康寿命の間の期間は「健康的に生活できない期間」を意味します。
この「健康的に生活できない期間」をできるだけ短くすることは健康寿命を延伸、つまり伸ばしていくことが豊かで幸せな老後生活へつながっていきます。
世界保健統計※で公開されているデータを「健康的に生活できない期間」順に並べ替えると日本は139位となり、今後健康寿命を延ばしていくことが求められていると言えます。
ただ、健康寿命が長い順に表を見てみますと「健康的に生活できない期間」が長い国は平均寿命そのものが高い傾向にあり、必ずしも日本が健康寿命延伸の取り組みが遅れているとも言えません。
国 | 平均寿命 | 健康寿命 | 健康的に生活できない期間 |
日本 | 84.3 | 74.1 | 10.2 |
シンガポール | 83.2 | 73.6 | 9.6 |
韓国 | 83.3 | 73.1 | 10.2 |
スイス | 83.4 | 72.5 | 10.9 |
イスラエル | 82.6 | 72.4 | 10.2 |
キプロス | 83.1 | 72.4 | 10.7 |
フランス | 82.5 | 72.1 | 10.4 |
スペイン | 83.2 | 72.1 | 11.1 |
アイスランド | 82.3 | 72.0 | 10.3 |
スウェーデン | 82.4 | 71.9 | 10.5 |
イタリア | 83.0 | 71.9 | 11.1 |
ルクセンブルグ | 82.4 | 71.6 | 10.8 |
マルタ | 81.9 | 71.5 | 10.4 |
オランダ | 81.8 | 71.4 | 10.4 |
ノルウェー | 82.6 | 71.4 | 11.2 |
カナダ | 82.2 | 71.3 | 10.9 |
アイルランド | 81.8 | 71.1 | 10.7 |
デンマーク | 81.3 | 71.0 | 10.3 |
ポルトガル | 81.6 | 71.0 | 10.6 |
※1 厚生労働省:令和5年簡易生命表の概況より引用
※2 World Health Organization:世界保健統計より引用
姿勢・骨・筋肉と健康寿命の関係
「健康的に生活できない期間」を迎えるきっかけとして要支援・要介護の状態に移行することが最もわかりやすいタイミングと言えます。そのきっかけを厚生労働省2022年の国民生活基礎調査※3から調査してみますと1位が認知症、2位が脳血管疾患(脳卒中)、3位が骨折・転倒となっています。
興味深いのは要支援になったきっかけで、臓器の病ではなく傷病や老化現象による身体の衰えが元となる要因が占めていました。
第1位 | 第2位 | 第3位 | |
要支援者 | 関節疾患 19.3% | 高齢による衰弱 17.4% | 骨折・転倒 16.1% |
要支援1 | 高齢による衰弱 19.5% | 関節疾患 18.7% | 骨折・転倒 12.2% |
要支援2 | 関節疾患 19.8% | 骨折・転倒 19.6% | 高齢による衰弱 15.5% |
※3 厚生労働省:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況より引用
要支援になるきっかけの第一位~三位までの関節疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒は合わせて52.8%に達し、要因の半分以上が身体の衰えからとなります。これらを鑑みると、股関節や膝関節、足首といった下半身の関節を柔らかく可動させることや、そのために必要な筋肉こそが健康寿命を伸ばすことに必要なことであると言えます。
また、下半身の関節各部位と筋肉に密接に関わってくるのが姿勢です。
悪い姿勢のままで生活すると一部の筋肉に負荷が集中するだけでなく使われない筋肉も増えて身体のバランスが崩れ、肩こりや腰痛の原因になります。こうした不調はそのまま運動不足につながり筋肉量の低下に結びつきます。
また、直接的な影響だけでなく精神的な面にも悪い影響を及ぼすことがわかっています。
姿勢が悪く血流が滞ることで脳への酸素供給量が少なくなり、活力あるシャキッとした日常を送れなくなることにつながります。これが「疲れやすい」と感じる原因でありメンタル面からも運動不足につながってくるわけです。
姿勢を気持ちだけで改善していくのはとても困難
姿勢の悪さが運動不足を招き、要支援のきっかけとなる身体的な衰えの原因になり、結果的に健康寿命が早く訪れてしまうことにつながってくることを推察してきました。これは改めて考えてみれば当然のことと言えば当然ですが、根本的に解決するにはどのような手立てがあるのかを検討する必要があります。
姿勢を改善するための取り組みとしてよく言われるのは「運動すること」や「日常生活の姿勢に気を配る」といったことが提唱されますが、当団体ではこれは根本的な解決にはならないと考えています。
「運動」や「日常生活で気を配る」といった対処方法は意識して活動し、それを継続することが前提のやり方です。ところが前述の通り、姿勢が悪いことでメンタル面にも悪影響を及ぼすわけですから意識して活動を継続することは多くの場合、長続きしません。
日常意識しなくとも継続できる仕組みや、専門家の施術やアドバイス、指導を受けることで個人個人に合わせた姿勢改善が求められます。当団体では専門家への相談をLINEで承っております。気軽に相談してみてください。
幸福と健康寿命の関係
研究では健康状態と幸福感には強い正の相関があることが示されています。
幸福感は「朝起きると気持ちが良い」「美味しいものを食べれる」といった生理的な要因から「行きたい場所へ行けた」「やりたいスポーツができた」といった身体への自信による要因、あるいは「働ける」「人の役に立てる」「人と楽しく会話できる」「あの集まりに顔を出せる」といったコミュニティ・社会参加による要因など様々なものから感じることができますが、それらはすべて健康が必要条件であるものです。
当団体では健康のスタートラインとして無理なく、意識せずとも姿勢が整っていくことが健康寿命の延伸へつながっていくことと考え、お悩みを持つ方からひとりひとり、ご相談を受け付けております。